LGBTQ+はこれまで差別や偏見に晒されることが多く、社会構造の「すきま」の中で非可視化されてきました。マイクロアグレッションやマジョリティの特権について学び、私たち一人ひとりが自分ごととして見つめる機会を持ち、誰もが安心できる社会や居場所について考えます。

日時
①9月26日(木) 19:00〜21:00 ②③④10月5日(土)・6日(日) 13:30〜16:30 →2025年1月12日(日)・18日(土) 13:30〜16:30
会場
大阪公立大学梅田サテライト 108教室(9/26)
大阪公立大学I-siteなんば S2・S3教室(10/5,6) →S4教室(1/12,18)
講師
長村さと子(一般社団法人こどまっぷ代表理事)
茂田まみこ(一般社団法人こどまっぷスタッフ)
新ヶ江章友(大阪公立大学大学院都市経営研究科、人権問題研究センター教授)

プロフィール

長村さと子(ながむらさとこ)
一般社団法人こどまっぷ代表理事

1983年生まれ。多様な街、新宿二丁目で子どもから大人まで、誰もが自分らしくいられる居場所作りを目標に、ジェンダー・セクシュアリティ・人種・障害の有無を問わず、安心できる店「足湯cafe&barどん浴」等、複数店舗を経営。
地元足立区で活動するLGBTQ+allyの団体「そらにじあだち」共同代表。
子育てをしてる又はしたいLGBTQをサポートする一般社団法人「こどまっぷ」代表理事。
レズビアンで一児の母でもあり、全ての女性たちに生殖補助医療を受けられるようロビー活動をしている。
足立区パートナーシップ宣誓第一号。

茂田まみこ(もだまみこ)
一般社団法人こどまっぷスタッフ

1980年生まれ。会社員をする傍ら、絵本作家、海外からの観光者向け新宿二丁目ツアーガイド、イベントやセミナー、懇親会などの企画運営から司会者として、幅広く活動中。
パートナーのさと子と2021年12月に生まれた子どもの育児中。
元保護犬2匹を含めた5匹かぞく。
「違い」をテーマにした絵本「あおいらくだ」の作者。(2020年/北樹出版)
足立区で活動するLGBTQ+allyの団体、そらにじあだちの共同代表。

新ヶ江章友(しんがえあきとも)
大阪公立大学大学院都市経営研究科、人権問題研究センター教授

博士(学術、筑波大学)。カリフォルニア大学バークレー校人類学部客員研究員、財団法人エイズ予防財団リサーチレジデント、名古屋市立大学男女共同参画推進センター特任助教などを経て、2015年、大阪市立大学大学院に赴任。2022年より現職。専門は、ジェンダー/セクシュアリティ、文化人類学(医療人類学)、カルチュラル・スタディーズ。著書に『クィア・アクティビズム:はじめて学ぶ〈クィア・スタディーズ〉のために』(花伝社)など。

アーカイブ

9月26日(木)

9/26(木) 梅田サテライトにて、ゼミナール「性の多様性」が始まりました。
講師に、新ヶ江章友さん(大阪公立大学大学院都市経営研究科、人権問題研究センター教授)と、長村さと子さん(一般社団法人こどまっぷ代表理事)においでいただきました。

グラウンドルールを共有し、はじめに「性の多様性と人権」についてを新ヶ江さんからお話しいただきました。
基礎的なLGBTQ+について、セックス・ジェンダー・セクシュアリティという言葉の意味を学び、生物学的な性だけではない人類学的な研究内容について、また、近年使われだしたSOGIという性的指向と性自認を指す言葉を学びました。全ての人の性的指向と性自認に基づいた生きやすい社会を作ろうとする世界の動向について学びました。

同性婚が認められている国の分布の紹介のあと、オンラインビデオチャンネル「It Gets Better」プロジェクトのはじまりから法が変わったり、2014年のオリンピック憲章の改定など、世界が変化していく様子が紹介されました。
日本では性同一性障害特例法の見直しや同性パートナーシップ制度の取り組みなど少しずつ変化は見られるものの、同性婚は認められておらず、世界の動向と日本の現状の差を知ることとなりました。

つぎに、長村さんより、自己紹介ののち「同性カップルの妊活育児を取り巻く日本の環境の現状と課題」について、子どもを持つ方法や制度などの紹介を中心に「こどまっぷ」の活動・立ち上げの背景を語っていただきました。「かぞく」の概念が日本では硬直したままであること、医療や社会の制度を当たり前の様に受けることができない現状や課題について、切実な思いを話していただきました。

後半のふりかえりの中では、海外では1990年代以降、同性カップルによって育てられている子どもの発達についての研究が進んでいることが新ヶ江さんより紹介されました。研究では「異性間カップルによって育てられている子どもたちは多様性に対する感受性が高い」結果が報告される一方、社会の中での生きづらさを抱えるストレスが子育てにネガティブな影響があることも報告されているなかで、社会がどの様に変化していくのかが重要であることが補足されました。

「生殖医療補助法が異性間の家族に限定される法が次年度より執行されることなど初めて知ることもあり、無知であることが社会を狭めることに加担しているのでは」など、制度や改革へについての質問や感想、理解を深めるための意見交換がありました。
次回のゼミでは、「『かぞく』とは?」の問いをテーマにさらに議論を深めていきます。