3.「実践・場づくり」

後期プログラム 実践・場づくり 実施概要

3つのテーマと現場を用意しました。受講生は、そのうちの一つを選択します。地域課題に根差しながらプログラムが企画される場を体験することで、アートコーディネートの勘所を、プロのコーディネーターらから直接学び、現場実践のスキルをリアル体験で学んでいきます。

「そこにある声を聞きなおす〜公害から環境共生へ〜」 NPO法人西淀川子どもセンター / 公益財団法人公害地域再生センター・あおぞら財団 ほか

開催日:

10月~12月(予定)

会場:

大阪市西淀川区

コーディネーター:

松岡 咲子 アートコーディネーター / 村田 のぞみ アーティスト

大阪・西淀川は、中心地へのアクセスの良さからニューファミリーが増え、人口がゆるやかな増加傾向にあるまちですが、深刻な大気汚染公害を経験した歴史を持っています。
最後の裁判から30年程が経ち、同時代を知る人達は亡くなる人も多く、公害の歴史を知らない子どもも増えているという現状があります。
当時、訴え続けなければならなかった人々の辛さ、絶望、怒りや祈りのような声は“亡くなって”いき、なかったことになってしまうのかもしれません。

このプロジェクトでは、子どもとアーティストが一緒になって、公害の歴史や環境再生について学び、作品創作に取り組みます。
いまを生きる公害患者さんの声を聞きながら、亡くなった人の声への想像を通じて、これからの子ども達が、健やかな環境を獲得できる身体性を持つことはできるでしょうか。
実際に現場を体感しながら、アートマネージメントを考え合っていく実践プログラムです。

「貧困と孤独と表現〜釜ヶ崎における協働の自立支援・就労準備支援表現プログラム〜」 NPO法人ココルーム・釜ヶ崎芸術大学

開催日:

10月~12月(予定)

会場:

釜ヶ崎芸術大学 ほか

コーディネーター:

上田 假奈代 詩人、NPO法人ココルーム代表理事

釜ヶ崎は高度経済成長を支えた日雇い労働者のまちは多様な存在をうけとめてきた。
NPO法人ココルームは2003年から大阪市西成区日本最大の寄せ場・釜ヶ崎(通称)に関わり、拠点をおいている。
上田假奈代は詩人としてこの活動をはじめ、喫茶店のふり、釜ヶ崎芸術大学という大学のふり、ゲストハウスのふりなどを展開し、労働者が高齢化し、野宿、生活保護の生活へと移行するなかで、偏見と孤独と孤立のはざまで「であいと表現の場」をつくっている。
生活保護受給者の社会的つながりづくりや、若年層の生活保護受給者の就労準備支援としての表現プログラムを10年あまり、地域の団体と協働しながら取り組んでいる。
「あいりん臨時夜間緊急避難所」(シェルター)には高齢化し、かつ、コロナ禍で孤立した日雇い労働者だけでなく、働く気力を失った若年層も混じり、継続利用者に対して自立支援の取り組みが求められている。
そこで、委託先のNPO釜ヶ崎支援機構と連携し、ソーシャルワーカー、研究者も加わりながら、グループワークによる気づきやコミュニケーションスキル・自立意欲の向上などを目的とした定期的な自立支援表現プログラムを開発し、企画・実践する。
また、若年の生活保護受給者への就労準備支援の表現プログラムにも携わりながら、段階的な支援のあり方を学ぶ。
1回目に、受講生は、上田らとの企画会議に参加する。
2回目以降、それぞれが、計10回程度の自立支援プログラムのうち4回程度の実施サポートを行う。
最終回は、上田らの意見交換と振り返りを行う。
3年間継続し、最終年度は、イギリスでホームレス状態にある人を「文化リーダー」として育成する取り組みを行うマットピーコック(Arts & Homelessness International)を招き、再チャレンジの可能性をさぐる。

「ジェンダー:Silhoulette Family(『性的マイノリティの家族のカタチ』の写真展)」 一般社団法人こどまっぷ

開催日:

7月〜12月(予定)

会場:

大阪市内各所 (調整中)

コーディネーター:

新ヶ江 章友 大阪公立大学大学院都市経営研究科、人権問題研究センター教授 / 長村 さと子 一般社団法人こどまっぷ代表理事 / 澄 毅 アーティスト

LGBTをはじめとする性的マイノリティの出産・子育てを支援し、当事者同士の交流する機会とネットワーク形成を行う活動を、一般社団こどまっぷは行ってきた。
今回のワークショップでは、日本で出産・子育てを行っている性的マイノリティを可視化させ、その様子を社会に広く伝えるために写真展を行う。
それに先立ち、写真展を実施するまでの活動実践を、ソーシャルワーカー、アートディレクター、研究者などと共有するワークショップを開催する。
1回目は、国内外の性的マイノリティの置かれている社会的状況について情報共有し、ディスカッションを行う。
2回目は、実際に出産・子育てを行っている性的マイノリティとの交流とアーティストによる写真撮影の現場を体験する。
3回目は、写真展の設営現場を体験する。
4回目は、写真展での当事者との意見交換と今回のイベントの振り返りを行う。
国内の性的マイノリティを対象とした支援活動は、様々な形で行われている。
性的マイノリティはこれまで差別や偏見に晒されることが多かったため、社会構造の「すきま」の中で非可視化されていた。
性的マイノリティの抱える問題としては、学校現場での差別、トランスジェンダーの人々に対する就労上の差別と貧困、HIVをはじめとする疾患、依存症など多様である。
これらの人々に対する支援活動を行ってきた団体が、アートを通して社会的不正義を社会に訴える機会を提供し、性的マイノリティだけではなく、他の社会的不正義をめぐる活動を行っている人々とのネットワークを形成する。

お問い合わせ先

大阪公立大学 「EJ ART」事務局(都市経営研究科内)

Eメール : info@eandjart.jp
電話 : 06-6605-2496 [平日 9:00~17:00]