ココルーム・釜ヶ崎芸術大学は、大阪市西成区・釜ヶ崎(通称)に関わり、地域に根ざしながら、さまざまな人々と出会い、表現と学びあいの場をつくる活動を行ってきました。会場となる「あいりん臨時夜間緊急避難所(シェルター)」は、野宿生活を余儀なくされている人々へ緊急・一時的に宿泊場所を提供している施設です。日雇い労働者の高齢化やコロナ禍以降、若年層の利用者も増えつつあるなか、常態的に利用している方への自立支援が課題となっています。
本プログラムでは、コーディネーターに上田假奈代を迎え、シェルターを利用する人々とともにさまざまな表現プログラムを行います。また、イギリスでホームレス状態にある人々を「文化リーダー」として育成する活動を行うマット・ピーコックを招き、国際的なネットワークづくりや国際情勢に照らしたEJ(公正と正義)についても学びを深めます。
表現を通じて、自他の存在を認め合うことや新たな視野で周囲をみること、働くことへの意識の変化を見出すきっかけとなり、協働し生きることに向き合う力を養うことをめざします。

開催期間
7月〜1月(全10コマ)
会場
あいりん臨時夜間緊急避難所(シェルター)(大阪市西成区)
コーディネーター
上田假奈代(詩人、NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)代表理事)
アーティスト
永井玲衣(哲学)
華雪(書・篆刻)
砂連尾理(振付家・ダンサー)
国際連携
マット・ピーコック(Arts&Homelessness International代表/イギリス)

こんな方におすすめです

● アートマネジメント業務のノウハウを現場を通じて学びたい方
● 社会的な課題に対して、アートを通じた取り組みを学びたい方
● 多様な背景をもつ方々との協働プログラムに興味のある方

*本プログラムの参加を希望される方は、平日日中に参加可能な方が条件となります。

日程

①「ガイダンス及びキックオフ」
日時:7月9日(水) 19:00〜21:00
場所:大阪公立大学梅田サテライト(101教室)
講師:上田假奈代

②「おやつと問いの時間」
日時:7月11日(金) 10:00〜16:00(WS 13:00〜15:00)  
場所:[集合] ココルーム [会場] シェルター
講師:永井玲衣、上田假奈代

③「ミーティング1」
日時:8月27日(水) 19:00〜21:00
場所:オンライン
講師:砂連尾理、上田假奈代

④「からだとことば」
日時:9月8日(月) 12:00〜17:00(WS 14:00〜16:00)  
場所:[集合] ココルーム [会場] シェルター
講師:砂連尾理、上田假奈代

⑤「墨と筆と石と手と」
日時:11月18日(火) 12:00〜16:00(WS 13:00〜15:00)  
場所:[集合] ココルーム [会場] シェルター
講師:華雪、上田假奈代

⑥「墨と筆と石と手と」
日時:11月19日(水) 12:00〜16:00(WS 13:00〜15:00)  
場所:[集合] ココルーム [会場] シェルター
講師:華雪、上田假奈代

⑦「ミーティング2」
日時:2026年1月15日(木)  
場所:ココルーム
講師:上田假奈代

⑧「マット・ピーコック氏とWS」
日時:2026年1月16日(金) 13:00〜15:00
場所:[集合] ココルーム [会場] シェルター
講師:マット・ピーコック、上田假奈代

⑨「マット・ピーコック氏と街歩き」
日時:2026年1月24日(土)13:00〜15:00
場所:[集合] ココルーム
講師:マット・ピーコック、上田假奈代

⑩「ふりかえり」
日時:1月28日(水) 14:00〜16:00
場所:ココルーム
講師:上田假奈代

プロフィール

上田假奈代(うえだかなよ)
詩人、NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)代表理事

1969年・吉野生まれ。3歳より詩作、17歳から朗読をはじめる。10代後半から20代前半に京大西部講堂で活動し、「下心プロジェクト」を立ち上げ、トイレ連れ込み朗読など行い、生きることと表現の関わりをさぐる。2001年「ことばを人生の味方に、詩業家宣言」。2003年、大阪・新世界で喫茶店のふりをしたアートNPO「ココルーム」を立ち上げ、釜ヶ崎に移転し、2012年「釜ヶ崎芸術大学」開講。2016年ゲストハウスのふりもはじめ、釜ヶ崎のおじさんたちとの井戸掘りなど、あの手この手で地域との協働をはかる。2013年から、65歳以上の単身生活保護受給者の社会的つながりづくり事業での表現プログラム、2021年から64歳までの生活保護受給者の就労準備支援の表現プログラムをコーディネートする。大阪公立大学都市科学・防災研究センター研究員、NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)代表理事。堺アーツカウンシル プログラム・ディレクター。大手前大学非常勤講師。

永井玲衣(ながいれい)
哲学

人びとと考えあう場である哲学対話を行っている。エッセイの連載のほか、政治社会についておずおずとでも語り出してみる場「おずおずダイアログ」、せんそうについて表現を通し対話する、写真家・八木咲とのユニット「せんそうってプロジェクト」、Gotch主催のムーブメントD2021などでも活動。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。第17回「わたくし、つまりNobody賞」受賞。詩と植物園と念入りな散歩が好き。釜ヶ崎には2020年頃から何度も足を運び、歩いている。

華雪(かせつ)
書・篆刻

1975年京都府生まれ。立命館大学文学部哲学科心理学専攻卒業。92年より個展を中心に活動。幼い頃に漢文学者・白川静の漢字字典に触れたことで漢字の成り立ちや意味に興味を持ち、文字の由来を綿密にリサーチし、現代の事象との交錯を漢字一文字とテキストの組み合わせで表現する作品づくりに取り組む。
近年は釜ヶ崎芸術大学や箕面市立萱野中央人権文化センター、栃木市こどもサポートセンターなどでワークショップを行い、識字問題や自閉症をはじめとした様々な障害を抱えた方たちにとっての一字書の可能性を見出している。

写真:草本利枝

砂連尾理(じゃれおおさむ)
振付家・ダンサー

1991年、寺田みさことダンスユニットを結成。
近年はソロ活動を中心に、京都、鹿児島、マレーシア、シンガポールの高齢者との「とつとつダンス」などアートと社会を繋ぎ、ダンスの意味を拡張する活動を展開。
また濱口竜介、山城知佳子の映像作品に振付・出演や、水戸芸術館、山形ビエンナーレ2022,2024に招聘作家として参加。
著書に「老人ホームで生まれた<とつとつダンス>—ダンスのような、介護のようなー」(晶文社)。