今年活動50周年を迎えるNPO法人トッカビに集まる子どもたちと即興演奏を手段として活動するグループ「M集会」と共に、音楽や身体をメディアとした即興的なパフォーミングアートの現場のマネジメントを体験します。

開催期間
8月〜9月(全6コマ)
会場
NPO法人トッカビ ほか(大阪府八尾市)
コーディネーター
朴洋幸(NPO法人トッカビ 代表理事)
アーティスト
M集会(アーティスト)

アーカイブ

「トッカビについて、周辺施設見学など」
日時:8月28日(水)13:00-15:00
会場:八尾市立 安中人権コミュニティセンター

「多文化共生〜外国人ルーツを持つ子どもたちへの音楽プログラム〜」の第一回を2024年8月28日におこないました。

八尾市にある八尾市立安中人権コミュニティセンターに集合し、本プログラムコーディネーターのNPO法人トッカビ 代表理事 朴洋幸さんによる、NPO法人トッカビ
“民族の誇りをもって生きる”から“人としてありのままに生きる”の講話を聴講しました。
朴さんの自己紹介ののち、日本に暮らす外国人に関わる現状や法、人権侵害について学びました。1974年10月に発足したトッカビが、特には在日朝鮮人の子どもたちの「在日の生活と現実から出発した民族教育」から進路保障・社会環境の障壁をなくす取り組みについて、実際に起きた問題や課題をあげ、トッカビが取り組み乗り越えてきた歴史と活動を知ることとなりました。

街歩きの前に、M集会からのビデオレターに和んだところで、いよいよ外へ向かいます。
トッカビが活動したり関係を持つ、周辺の施設のご案内をいただきました。
人と人とのネットワークの豊かさ、地域と共生、共同し活動するトッカビの取り組みの50年の歳月の重みを感じながら、解散後の駅へと向かう受講生は、さまざまに思いを巡らしながらの帰宅となりました。

「 M集会について、ミーティング」
日時:9月11日(水)14:00-16:00
会場:大阪公立大学梅田サテライト 108教室

2024年9月11日「多文化共生-外国人ルーツを持つ子どもたちへの音楽プログラム」第2回を梅田サテライト108教室にて開催しました。 

M集会の今尾さんとペダルさんが教室に運び入れた数々の楽器を床に並べ、会場作りから開始!後方には大きな銅鑼が設置されました。
参加者は、床に座ったりとそれぞれ自由に座り、実践講座が始まりました。
最初に、M集会のこれまでの活動についてを、スライドで、過去の映像記録や映像作品を参照しながら紹介します。「ただそこに共にいること」を核にしながら、メディアを変え、人や場所を違えながらも活動し、今に至る活動の流れを知ったところで、いよいよ今回のワークショップのイメージを掴むための、実践が始まります。

先ずは、みんな気になってた銅鑼を使って、自己紹介から。
ドワ〜〜〜〜ン!と、1人づつ銅鑼を鳴らしてから、受講生、アーティスト、朴さん、事務局が、それぞれどんな思いでこの場にいるかを話しました。
「この場所がこんな使われ方をしているのは、はじめてかも、、、」との声も聞こえつつ。自己紹介も終わり、ワークショップのイメージを掴むため、2グループに分かれます。
M集会より「お互いをみないで、誰かが出す音を聞いて、音を合わせてもいいし合わさなくてもいい時間を過ごしてみましょう」との説明があり、5分づつ楽器を叩いたり擦ったり、声を出したり、誰かの出方を探ったり、探らなかったりしました。
セッションのように音が集合したり、徐々に解散したりしたりするようすを、お互いのグループを観察(鑑賞)しました。

実践の後、それぞれのグループに分かれ、意見交換をおこないました。どんなことを意識して演奏したか、一方のグループを鑑賞した感想など、それぞれがキャッチした、さまざまな情報が飛び交いました。
誰かの発信を音でも言葉でも、、具に見聞きし伝えることや考えることを惜しまないことを体験した回でした。

「子どもたちとワークショップと振り返り」
日時:9月18日(水)14:00-16:30  

「子どもたちとワークショップと振り返り」
日時:9月25日(水)13:00-17:00    

「子どもたちとワークショップ」
日時:9月29日(日)13:00-14:30

実践・場づくり

【多文化共生-外国人ルーツを持つ子どもたちへの音楽プログラム】

「オトとトッカビ」

9月29日(日)全6回のプログラムの最終日は、一般公開のワークショップを八尾市立安中人権コミュニティーセンターにて開催しました。

この日までに、9月15日25日と2回、八尾市立安中青少年会館で子どもたちとの顔合わせとワークショップの練習をしました。

今日は、子どもたちは来てくれるかな。と心配しながら、お昼を過ぎた頃には子どもたちの楽しそうな声が道から聞こえてきて会場へとやってきました。一同ホッとしながらのスタートです。

M集会と子どもたちのご挨拶からはじまり、今日はなにをするかの説明と、短い練習をみんなで行いました。先ずは2人ペアになり、相手の出す音にどうやって反応するかをやってみました。次に、楽器を変えたり移動しながら音を出す練習。最後に、できるだけ小さい音をだしながら相手の音に答えたり答えなかったりする練習をしました。
うっかりすると大きい音が出てしまうところを、小さい音を集中して出したり、聞きたりする練習を踏まえて、本番のワークショップへと移行します。

じゃんけんでグループ分けをしたのち、一方は音を出し、もう一方は布を被ります。

布を被った人たちは、音を出す人たちからは見えない存在をイメージし、音を聞いたりその場にいることを味わいます。
つぎに役割を入れ替えてもう一度行いました。

休憩を挟み、動画で撮影されたワークショップの全体像を鑑賞します。即興演奏や自由な身体を使った活動が、一つの画角で見えることで、私たちに何が起きていたのか。についての視点を持つことができたのではないでしょうか。

最後に、自由な遊びの中でのセッションで盛り上がり、1人の子どもによる銅鑼の音で会は終了しました。
子どもたちの一人一人のやりたい、やりたくない、工夫したいなどの瞬間に切り替わる気持ちに寄り添いながら、受講生たちは自身の子ども時代を振り返ったり、これからの未来をイメージしながら、地域課題は自身の課題でもあることを実感する時間となったことでしょう。

トッカビの活動とM集会の活動が合わさり、新しい場が生まれたひと時でした。

余談:午前中に韓国打楽器での演奏チーム 「ポンゴンズ」の練習があり、その大迫力の演奏に、好奇心を抑えられず駆け寄り、演奏を教えてもらうM集会でした。

「全体の振り返り」
日時:9月29日(日)15:00-16:30  

プロフィール

朴洋幸(ぱくやんへん)
NPO法人トッカビ 代表理事

兵庫県尼崎市生まれの在日朝鮮人3世。1991年~在日コリアンの人権確立に取り組む団体スタッフ後、1998年よりトッカビ子ども会(現、NPO法人トッカビ)スタッフとなり2005年より代表理事に。八尾市外国人市民会議委員(2011~)、八尾市多文化共生モデル地域事業アドバイザー(2015)、(公財)八尾市国際交流センター評議員(2012〜2018)、現在、(一財)八尾市人権協会事務局長として啓発事業等にも取り組む。
トッカビは、1974年10月に八尾市において主に在日コリアンの子どもたちを活動対象に発足。現在は、コリアンの子どもたちだけでなく、外国にルーツを持つ人々に対する支援活動を実施。とりわけ、90年後半には、日本生まれのベトナム、中国の子どもたちも増える中、ベトナム(ルーツ)語教室の開設や、次世代の育成のためのプログラムを実施。

M集会(えむしゅうかい)
アーティスト

M集会は、多様な音楽の形式・楽器・舞台形態をコラージュし、ときには音楽の形式を超えた振る舞いからも引用をおこなうことによって、独自の音楽形式を模索しつつ、音を奏でる身体どうしの(またそれをとりまく環境との)協働のあり方を問うことをテーマとした音楽グループである。
2018年金沢市を拠点に72時間継続して即興セッションを続けるなど活動を開始。
2019年生活と演奏の境界について模索するため共同生活を始め、自宅で演奏イベントを開始。台湾を舞台に演奏機材をバックパックに詰めて宛なき演奏の旅を行う。
2020年映像での作品制作を始める。野球ドームを舞台にドーム反響や記録行為も含めて即興演奏を行う映像を制作しYouTubeに公開する。